目次
- 法定相続情報一覧図とは
- 取得までの流れ
- どこに出せばいいか
- 使いどころ:銀行・保険・不動産
- 実務で差がつく3つのコツ
- 注意したい落とし穴
- 一覧図がつくれないケースもある?
- 司法書士に頼むメリット
- まとめ
親が亡くなると、銀行、証券会社、保険会社、法務局、年金事務所と、手続きの窓口が一気に増えます。そのたびに「出生から死亡までの戸籍の束」を提出し、確認してもらい、返してもらい、また次の窓口へ。仕事の合間にこの作業を繰り返すのは、想像以上に疲れます。この負担を軽くするのが、法定相続情報一覧図です。この記事では、制度の中身、取り方、使いどころを、実務の流れに沿って整理します。
法定相続情報一覧図とは
亡くなった方と相続人の関係を、一枚の図にまとめ、法務局(登記所)の登記官が内容を確認したうえで、認証文付きの写しを交付してくれる制度です。法務局の案内では、写しの交付は無料とされています。
ポイントは、戸籍の束を一度法務局に提出して確認してもらえば、その後は一覧図の写しだけで、相続の各種手続きを進められる点です。窓口ごとに戸籍の束を出し直さなくてよくなり、手続きを並行して進められます。
似た名前の「相続関係説明図」は、自分で作る参考資料で、法務局の認証がありません。法務局の認証が付く点が、一覧図との違いです。
取得までの流れ
手続きの流れは次のとおりです。
- 戸籍などを集める:亡くなった方の出生から死亡までの戸除籍謄本、住民票の除票(取れない場合は戸籍の附票)、相続人全員の現在の戸籍謄本などです。
- 一覧図を作る:法務局の様式や記載例にそって、相続関係を図にします。
- 申出書とともに法務局へ提出する:申出人の本人確認書類も必要です。
- 写しを受け取る:必要な通数を申し出ておけば、そのぶんの写しが無料で交付されます。
申出ができるのは相続人です。代理人に頼む場合は、弁護士、司法書士、行政書士などの資格者代理人や、申出人の親族に限られます。郵送でも手続きできるので、遠方の方でも利用できます。
どこに出せばいいか
申出先は、次のいずれかを管轄する法務局です。
- 亡くなった方の本籍地
- 亡くなった方の最後の住所地
- 申出人の住所地
- 亡くなった方名義の不動産の所在地
自宅の近くの法務局で出せることが多く、平日に動ける時間が限られる方には助かります。戸籍の取得にかかる手数料や郵送料は、別途かかる点は覚えておきましょう。
また、提出した一覧図は法務局で5年間保管され、保管期間中は写しの再交付を受けられます。写しを紛失しても慌てずに済みます。
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使いどころ:銀行・保険・不動産
一覧図の写しは、相続のさまざまな場面で使えます。
- 不動産の相続登記:法務局への申請に、戸籍の束の代わりに添付できます。
- 預貯金の解約・名義変更:銀行ごとに戸籍の束を出す代わりに、写しを提出します。
- 証券会社・保険会社・年金の手続き:複数の窓口で同時に進めやすくなります。
ただし、すべての窓口で同じように使えるとは限りません。手続きの種類や相手先によっては、一覧図に加えて別の書類を求められる場面もあり、金融機関ごとに運用が異なることもあります。事前に窓口へ確認する習慣をつけておくと、二度手間を避けられます。
実務で差がつく3つのコツ
同じ制度でも、使い方次第で手間は大きく変わります。
- 通数は余裕をもって申し出る:写しは必要な分だけ無料でもらえるため、使う窓口の数に少し余裕を持たせて申し出ておくと、あとで慌てません。ただし、保管期間中は再交付も受けられます。
- 住所を載せるかを決める:相続人の住所は、一覧図に記載するかどうかを選べます。相続人の住所を載せておくと、住所を示す手続きで便利なことがあります。その場合は、該当する相続人の住民票の写しを添える必要があります。
- 窓口ごとの使い方をメモする:どの金融機関で、何の手続きに、どの書類が必要かを一覧にしておくと、抜けや重複を防げます。
とくに、相続人が複数いる場合は、誰が申出人になるかを決めて、代表して動くのが現実的です。ほかの相続人には、写しを共有して使ってもらえます。
注意したい落とし穴
一覧図を作るときの注意点もあります。
- 相続人全員を載せる:相続放棄をした人や、遺産を受け取らない人も、相続人としては記載する必要があります。放棄したかどうかは、一覧図には表れません。
- 戸籍の収集が一番の山場:本籍地が何度も変わっていると、戸籍の請求先が複数になります。
- 記載ミスで補正になる:氏名の旧字体など、細かい点でも指摘を受けることがあります。
相続人が多い場合や、本籍が転々としている場合は、集める戸籍の数が膨らみます。数が多いほど、読み解く力と時間が必要になるため、早めに全体を見渡しておきましょう。
一覧図は「作ること」自体が目的ではなく、手続きを早く終わらせる手段です。何件の窓口で使う予定かを数えて、使う通数を決めておきましょう。
一覧図がつくれないケースもある?
一覧図は、法務局が戸籍の内容と図の内容が合っているかを確認して認証します。そのため、戸籍が足りない、読み取れない、内容が食い違うといった場合には、追加の書類を求められたり、図の修正(補正)を求められたりします。
また、相続人のなかに行方が分からない人がいても、戸籍から相続人として確認できれば図には載せられます。一覧図は「相続人が誰か」を示すものであり、「誰がどの財産を取るか」までは示さない点も、押さえておいてください。遺産の分け方は、別途、遺産分割協議書などで決めます。
司法書士に頼むメリット
自分で作ることもできますが、次のような場合は司法書士に頼むと早く済みます。
- 相続人が多く、戸籍の収集が複雑
- 平日に法務局や役所に行く時間が取れない
- 不動産の相続登記も、ほぼ同時に行いたい
特に、相続登記を申請する予定があるなら、一覧図の作成から登記までを一貫して頼むことで、書類の使い回しが効き、手間が減ります。報酬は事務所ごとに異なるため、見積もりで確認してください。
まとめ
法定相続情報一覧図は、戸籍の束の代わりになる認証付きの一枚です。写しは無料で受け取れ、法務局で5年間保管されるため、銀行・不動産・保険など複数の窓口での手続きを並行して進めやすくなります。窓口によって運用が異なることもあるため、使う前に確認しておくと安心です。個別の事情によって結論は変わるため、具体的な判断は該当分野の専門家(司法書士)に確認してください。


