AIが作った文章・画像の権利は誰のもの? 外注時の契約で決めること

目次
1. 著作権が守るのは「人の創作」
2. AIが作ったものは、著作物なのか
3. 「創作的寄与」とはどんな関わり方か
4. 使うときの侵害リスク
5. 契約と規約で確認すること
6. 事業者の線引き4か条
7. まとめ

キャッチコピー、ブログの文章、チラシのイラスト。生成AIにお願いすれば、数十秒で形になります。ただ、ここで多くの人が引っかかるのが「これ、自社のものとして使っていいの?」「他の人にそっくり真似されたら、止められるの?」という疑問です。AIが作ったものの権利は、意外とあいまいな部分があります。この記事では、生成AIの成果物を事業で使うときに知っておきたい著作権の基本と、事業者としての線引きを整理します。

著作権が守るのは「人の創作」

最初の出発点は、著作権法が何を守っているかです。著作権法では、著作物を「思想又は感情を創作的に表現したもの」と定めています。つまり、人の考えや気持ちが、創作的な形で表れているものが対象です。

したがって、単なるデータや事実、ありふれた表現は、著作物にあたらないことがあります。ここに、AIが作ったものをどう考えるか、という論点が出てきます。ポイントは「人がどう関わったか」です。この視点が、あとの判断のすべての土台になります。

AIが作ったものは、著作物なのか

一般的に、AIが自動的に生み出した文章や画像は、人が創作したとは言いにくいため、著作物にあたらないと考えられています。人が「創作的に表現した」といえる関与がなければ、著作権は生まれにくい、という整理です。

ただし、すべてのAI生成物が著作物ではない、というわけでもありません。人間に創作する意図があり、かつ創作的な寄与が認められる場合は、その部分に著作権が認められる可能性があります。文化庁も、2024年3月に「AIと著作権に関する考え方」をまとめ、AIを使った創作についての考え方を示しています。この資料では、AI生成物の著作物性は、個別のケースごとに判断される、という整理がされています。

「創作的寄与」とはどんな関わり方か

では、どの程度の関わりがあれば、人の創作と認められやすいのでしょうか。一般的に、次のような要素が、判断で考慮されるとされています。

  • 指示の工夫:長く具体的な指示を、何度も試行錯誤しながら出している
  • 選択:多くの出力の中から、自分の意図で選んでいる
  • 加工:出力された文章や画像に、人が手を加えて直している

たとえば、「猫の絵を描いて」と1回だけ入力して出てきた画像を、そのまま使った場合は、人の創作的な関与は小さいと見られやすくなります。反対に、構図や色、雰囲気を細かく指定し、出力を選び、手作業で描き足した場合は、人の作品といえる余地が広がります。

ただし、「これだけやれば大丈夫」という線は、はっきりとは決まっていません。重要な素材では、権利が主張できない可能性を前提にして、ブランドの根幹にかかわる部分(ロゴなど)は、人の手で作る、といった判断が現実的です。

合わせて読みたい:外注した成果物の権利を契約で決める

使うときの侵害リスク

成果物の権利とは別に、気をつけたいのが、他人の著作権を侵害してしまうリスクです。AIが出した文章や画像が、既存の作品とよく似ていて、しかもその作品を参考にしたと認められると、著作権の侵害になるおそれがあります。この「似ている」と「もとにした」の2つの条件は、法律では類似性と依拠性と呼ばれます。

なお、AIに作品を学習させる段階(開発する側)については、著作権法30条の4という別の規定があり、原則として許可なく学習に使えるとされています。ただし、著作権者の利益を不当に害する場合は例外です。事業者が日常的に気にするのは、むしろ出力を使う段階のほうです。

誤解されがちなのは、利用者がその作品を知らなかった場合です。AIの学習データにその作品が含まれていた場合、利用者が知らなくても、依拠が認められる可能性がある、と説明されることがあります。事業で使うなら、「AIが作ったから大丈夫」とは言えない、と考えておくのが安全です。たとえば、人気キャラクターに似た絵柄のイラストを、販促物にそのまま使ってしまった場合、制作の経緯にかかわらず、問題が指摘されるおそれがあります。

実務では、公開前に次のような確認をしておくと安心です。

  • 画像検索などで、似た作品がないかをざっと調べる
  • 特定の作家名や作品名を指定した指示を、避ける
  • 広告や商品パッケージなど、目立つ場面では、特に慎重に確認する

契約と規約で確認すること

もう一つの大事な点は、使っているAIサービスの利用規約です。同じ生成AIでも、サービスによって、生成物を商用利用できるか、利用に条件があるか、が違います。無料プランと有料プランで、条件が異なることもあります。

また、外部の制作会社やフリーランスに依頼するときは、納品物にAIが使われているかどうかを確認することも、重要になってきました。次のような点を、契約で決めておくと、あとのトラブルを減らせます。

  • 制作にAIを使うことを認めるか、事前に報告してもらうか
  • 納品物の権利が、どちらに帰属するか
  • 他者の権利を侵害していないことの保証と、問題が起きたときの責任分担

特に、納品物が著作物として保護されない可能性がある点は、報酬や権利の扱いを考えるうえで、見落としがちです。

事業者の線引き4か条

ここまでを、事業者の目線で整理すると、次の4つになります。

  • 自社の財産にしたいものは、人が主体的に作る:ロゴや看板商品など
  • 公開前に、似た作品がないか確認する:特に広告や商品に使うもの
  • 使うサービスの規約を確認する:商用利用ができるか
  • 外注先とは、AI利用の扱いを契約で決める:権利帰属と責任分担

この4つが社内で共有されているだけでも、トラブルの確率は下がります。迷ったときは、「人が手を入れた部分は何か」「似た作品はないか」の2点に立ち返ると、判断しやすくなります。社内の制作物にAIを使った場合は、使ったツールと日付、元の指示を記録しておくと、あとで経緯を説明するときに役立ちます。

まとめ

AIが作った文章や画像は、人の創作的な関与がなければ、著作物として守られにくいと考えられています。一方で、他人の作品と似ていれば、侵害のリスクは使う側に生じます。事業者は、自社の財産は人が主体的に作ること、公開前に確認すること、規約と契約を確認することの3点を意識してください。この分野は制度や考え方の整理が進んでいる途中で、今後も更新される可能性があります。個別の事情によって結論は変わるため、具体的な判断は該当分野の専門家(弁護士)に確認してください。

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