目次
1. 反社チェックはなぜ必要?
2. 比較表で見る反社チェックの方法
3. 契約書に入れる暴排条項
4. 取引前に確認する最低ライン
5. 調べた記録は残そう
6. 疑いが出たときの動き方
7. まとめ
8. 合わせて読みたい
新しい取引先と契約するとき、「この会社、ちゃんとした相手かな?」と不安になったことはありませんか。反社会的勢力(暴力団やその関係者など)との関係は、知らずに結んでしまっただけでも、銀行や取引先からの信用を一気に失うきっかけになりかねません。大がかりな仕組みがなくても、契約書の条項と取引前の確認という二本柱で、最低限の守りは固められます。この記事では、反社チェックの方法を、自社での検索確認・専門データベース・関係機関への相談の3つで比べながら、契約書の条項と確認のしかたを整理します。
反社チェックはなぜ必要?
政府は2007年(平成19年)6月に、「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」を示しました。ここでは、反社会的勢力に対して、「取引を含めた一切の関係遮断」を基本原則とする考え方が打ち出されています。
また、指針の解説では、暴力団が組織を見えにくくしたり、資金の集め方を巧妙にしたりしているため、排除の意識が高い企業でも知らずに取引してしまう可能性があると指摘されています。つまり「うちは大丈夫」と思っていても、確認の仕組みがなければ防げない、ということです。
さらに、各地の暴力団排除条例では、事業者に対して契約時の対応を求める規定が置かれています。内容は都道府県ごとに違うため、事業所のある地域の条例は一度確認しておきましょう。
比較表で見る反社チェックの方法
まずは全体像を表で比べます。
| 比較項目 | 自社での検索確認 | 専門データベース | 関係機関への相談 |
|---|---|---|---|
| 方法 | 登記簿や会社のホームページの確認、社名・代表者名の検索や報道で調べる | 業界団体や民間調査会社のデータベースを使う | 警察・暴力追放運動推進センター・弁護士に相談する |
| 向いている場面 | すべての取引前に行う最低ラインの確認 | 取引額が大きい、取り扱う業種に事情があるとき | 疑いが出たとき、不当な要求を受けたとき |
| 分かること | 会社の実在、役員、設立時期、評判の手がかり | 自社の検索だけでは拾いにくい情報 | 進め方の判断と、安全な対応のしかた |
| 注意点 | 結果が白黒はっきりしないことが多い。決めつけない | 利用の条件は提供元ごとに違うため、事前に確認する | 自分たちだけで抱え込まず、早めに相談する |

3つの方法は、どれか1つで完結させるものではありません。自社の確認を最低ラインとして、取引の大きさや疑いの度合いに合わせて、データベースと外部への相談を重ねていくのが現実的です。
契約書に入れる暴排条項
暴排条項(暴力団排除条項)とは、相手が反社会的勢力だと分かったときに、契約をすぐ解除できるようにしておく約束のことです。指針の解説では、契約書や取引約款に盛り込むことが望ましいとされています。
条項の中身は、おおむね次の3つの組み合わせで作ります。
- 属性の表明:自分も相手も、反社会的勢力ではないと表明し、将来にわたっても関わらないと約束する
- 行為の禁止:脅迫的な言動や、暴力的な要求、信用を傷つける行為などをしないと約束する
- 解除と責任:違反が分かったら、催告なしに解除でき、解除で生じた損害の賠償を求めないとする
「表明が嘘だったら解除できる」形にしておくと、あとで嘘が発覚した場合に動きやすくなります。一度の取引で終わる契約でも、基本契約書や発注書の約款に、あらかじめ入れておくと運用が楽です。
取引前に確認する最低ライン
条項があっても、相手を何も調べないままでは片手落ちです。取引前の確認は、相手や取引の大きさに合わせて、無理のない範囲で段階を踏むのが現実的です。
最低限の確認としては、次のようなものが挙げられます。
- 登記簿(履歴事項全部証明書)で、会社の実在や役員、設立時期、本店の移転歴を見る
- 会社のホームページ、事業所の住所、連絡先に不自然な点がないか確認する
- 社名や代表者名をインターネットの検索や報道で調べてみる
- 相手に「反社会的勢力ではない」という表明書を出してもらう
取引額が大きい、取り扱う業種に事情がある、といったときは、業界団体や民間の調査会社のデータベースを使う方法もあります。指針の解説でも、業界内のデータベースの活用が有効とされています。
ここで、確認の結果が見えにくいときの目安も押さえておきましょう。実際の現場では、確認の結果が白か黒かはっきりしないことのほうが多いものです。次のような点が重なると、立ち止まって詳しく調べるきっかけになります。
- 会社の住所が貸し事務所やバーチャルオフィスだけで、実態がつかめない
- 設立して間もないのに、取引の規模がやけに大きい
- 役員や本店所在地が、短い期間に何度も変わっている
- 契約書や身元の確認を、理由なく嫌がる
- 報酬や条件が、相場から見てあまりに好条件すぎる
1つ当てはまったからといって、すぐに反社会的勢力と決めつけてはいけません。あくまで、確認を厚くするかどうかの判断材料にします。決めつけで取引を断ると、相手の名誉を傷つけてしまうおそれもあるためです。
調べた記録は残そう
確認したことは、「いつ・誰が・何を調べ・どう判断したか」を記録として残しておきましょう。何も記録がないと、あとで取引先や金融機関から「どんな確認をしていたのか」と聞かれたとき、説明に困ります。
記録は難しい形式でなくて構いません。確認日、確認した資料、判断を決めた担当者の名前が分かるメモで十分です。新規の取引先は取引開始前に、継続中の取引先も契約更新のタイミングなどに、定期的に見直す仕組みにしておくと安心です。
記録に関連して、確認のために相手の情報を集めるとき、気になるのが個人情報の扱いです。指針の解説では、反社会的勢力による被害を防ぐ目的であれば、本人の同意がなくても情報を取得・利用できるという考え方が整理されています。とはいえ、集めた情報を社内で無制限に回してよいわけではありません。見られる担当者を限り、目的以外には使わないというルールを、社内で決めておきましょう。
疑いが出たときの動き方
「怪しいかも」と思ったとき、自分たちだけで抱え込まないことが何より大切です。指針でも、関係遮断を法令順守の問題として扱い、警察や暴力追放運動推進センター、弁護士など外部の専門機関と連携することが重要とされています。
契約前であれば、契約自由の原則から、疑わしい相手との契約を断ることができます。契約後に分かった場合は、暴排条項や虚偽申告を理由に解除する流れが考えられますが、いきなり相手に連絡する前に、弁護士に進め方を相談するほうが安全です。相手を刺激して、かえって不当な要求を受けるおそれがあるためです。
また、不当な要求を受けたときも、応じずに記録を残し、警察や専門機関に相談するというのが基本の流れです。どの進め方が自社に合うか迷うときは、コミッターズまでお気軽にご相談ください。
最後に、既存の取引先についてです。新規の取引先だけでなく、すでに取引のある相手も見直しの対象です。古い契約書には暴排条項が入っていないことがよくあります。契約更新のタイミングで条項を追加する、基本契約書を新しい雛形に切り替える、といった形で少しずつ整えていくのが現実的です。
見直しの際は、契約の相手だけでなく、相手の背後にいる人物にも目を向けます。代理店や下請け、再委託先を通じて、知らないうちに関係が広がっていることもあるためです。必要に応じて、再委託をするときは事前に連絡してもらうことも、契約書に定めておけます。
まとめ
反社チェックの方法は、自社での検索確認を最低ラインに、専門データベースと関係機関への相談を取引の大きさと疑いの度合いで重ねる、という組み立てが現実的です。そのうえで、反社チェックの最低ラインは、契約書に暴排条項を入れることと、取引前に相手の実在や評判を確認して記録を残すことの2つです。疑いが出たら、一人で抱えずに警察や暴力追放運動推進センター、弁護士に相談してください。条項の文言や確認の範囲は、業種や取引の規模で変わります。個別の事情によって結論は変わるため、具体的な判断は該当分野の専門家(弁護士)に確認してください。
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