目次
1. 広告のルールは「二本立て」
2. 比較表で見る景品表示法と薬機法
3. 景表法がNGにする2つの表示
4. 「No.1」「日本一」でつまずく理由
5. 小さな注意書きでは打ち消せない
6. 薬機法は「効能の言い切り」に厳しい
7. 違反したらどうなる?
8. 公開前の4ステップ・セルフチェック
9. まとめ
10. 合わせて読みたい
「業界No.1」「たった1週間で肌が変わる」。キャッチコピーを考えていると、つい強い言葉を使いたくなりますよね。ところが、勢いで書いた一言が、行政からの命令やお金の支払いにつながることがあります。広告のルールは主に2つ。景品表示法(景表法)と薬機法です。この記事では、2つの法律を比較表で並べ、規制する内容・対象・NG表現の違いを整理したうえで、事業者がつまずきやすいポイントを、公開前に見直せる形で整理します。
広告のルールは「二本立て」
広告まわりで名前が挙がる法律は、大きく2つです。景表法は、商品やサービス全般の表示が対象です。実際より良く見せたり、お得に見せたりする表示を禁じています。一方の薬機法は、医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器・再生医療等製品の広告が対象です。
化粧品や美容機器を扱う会社なら、2つの法律を同時に意識する必要があります。逆に、雑貨や飲食店、ITサービスなら、まずは景表法を押さえておけば大枠は外しません。
比較表で見る景品表示法と薬機法
まずは全体像を表で比べます。
| 比較項目 | 景品表示法 | 薬機法 |
|---|---|---|
| 規制する内容 | 実際より良く見せたり、お得に見せたりする表示 | 医薬品等の名称・効能・効果・性能についての虚偽・誇大な広告 |
| 対象 | 商品・サービス全般の表示 | 医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器・再生医療等製品の広告 |
| NG表現の例 | 効果の裏付けがない「飲むだけでやせる」、実績のない価格を通常価格とする二重価格表示 | 化粧品で「シワが消える」「アトピーが治る」など、認められた効能の範囲を超える表現 |
| 根拠の扱い | 表示の裏付けとなる合理的な根拠の提出を求められることがある | あらかじめ決まった範囲の効能しかうたえない |
| 違反したら | 措置命令や課徴金納付命令など。課徴金は対象商品の売上額の3%が基本 | 虚偽・誇大広告への課徴金など。課徴金は対価の合計額の4.5%が基本 |

景表法は「実際より良く・お得に見せていないか」、薬機法は「決まった範囲を超えた効能を言い切っていないか」が、それぞれの物差しになります。
景表法がNGにする2つの表示
景表法が問題にする代表例は2つです。1つ目は優良誤認で、品質や効果を実際より著しく良く見せる表示です。2つ目は有利誤認で、価格や取引条件を実際より著しく有利に見せる表示です。
優良誤認の例としては、効果の裏付けがないのに「飲むだけでやせる」とうたう場合が挙げられます。有利誤認の例としては、実際には誰も買っていない高い価格を「通常価格」として、大きく値引きしたように見せる二重価格表示があります。
ここで見落としやすいのが、証拠を出す責任が事業者側にある点です。優良誤認かどうかを判断するため、消費者庁は期間を定めて「表示の裏付けとなる合理的な根拠」の資料提出を求めることができます。出せないと、その表示は優良誤認とみなされる(措置命令の場面)、または推定される(課徴金の場面)仕組みです。
「No.1」「日本一」でつまずく理由
No.1表示は、一番わかりやすく、一番ねらわれやすい表現です。2008年に公正取引委員会が公表した実態調査報告書では、No.1表示が問題にならないための要件として、次の2点が示されています。
- 客観的な調査に基づいていること
- 調査結果を正確かつ適正に引用していること
つまずく典型は、調査の中身と表示のズレです。たとえば、回答者が数十人の簡易アンケートで「顧客満足度No.1」とうたう、調査時期や対象を小さな文字でしか書かない、といったケースです。「何の、どの範囲での、いつ時点のNo.1か」を、広告を見た人にそのまま伝わる形で示しておく必要があります。
調査会社に依頼する場合でも、結果の使い方の責任は広告主に残ります。調査の設計(対象者・人数・質問文)まで確認しておくと安心です。
小さな注意書きでは打ち消せない
「※個人の感想です」「※効果には個人差があります」と小さく添えれば安心、と考える方は少なくありません。しかし、強調した言い切り表現を、あとから小さな注意書きで打ち消すことはできません。広告を見た人がどんな印象を受けるか(一般消費者がどう受け取るか)で判断されるからです。
よくある失敗を挙げます。
- 「今だけ半額」と書いているのに、実際は常に同じ価格で売っている
- 「全品送料無料」と大きく書き、条件は端の小さな文字にしか書かない
- 「国産」「天然」といった言葉を、根拠をあいまいにしたまま使う
- 「医師も推薦」と書き、薬機法上は効能を保証したように見える
どれも、悪意がなくても起こります。だからこそ、書いた人と確認する人を分ける運用が効きます。
薬機法は「効能の言い切り」に厳しい
薬機法66条は、対象商品の名称・効能・効果・性能について、虚偽または誇大な広告を禁止しています。しかも「明示的であると暗示的であるとを問わず」とあるため、はっきり書かなくても、体験談風の見せ方やビフォーアフター画像で効果を暗に示せば、問題になりえます。
もう1つ大切なのは、規制の対象が「何人も」である点です。広告主だけでなく、制作会社、アフィリエイターなど、広告に関わる人が幅広く対象になりえます。
また、化粧品に認められる効能は、あらかじめ決まった範囲に限られます。「肌にハリを与える」のような表現はよくても、「シワが消える」「アトピーが治る」といった医薬品のような効能は言えません。
健康食品も要注意です。薬機法の対象商品ではなくても、病気の治療や予防をうたうと、承認を受けていない医薬品の広告(薬機法68条)にあたるおそれがあります。健康増進法にも、誇大な表示を禁じる規定があります。
違反したらどうなる?
景表法違反の場合、主な流れは次のとおりです。
- 措置命令:表示をやめる、再発防止策を取る、消費者へ周知するといった内容を命じられる
- 課徴金納付命令:対象商品の売上額の3%が基本(算定期間は最長3年分)。ただし、金額が150万円未満なら納付は命じられず、不当表示と知らず相当の注意も怠っていなかった場合も対象外
- 罰則:2024年10月1日から、優良誤認・有利誤認には100万円以下の罰金の直罰規定がある
同じ日に、確約手続も始まっています。事業者が自主的な是正計画を出して認定を受ければ、措置命令や課徴金納付命令を受けずに済む仕組みです(過去10年以内に法的措置を受けた場合などは対象外)。
薬機法では、虚偽・誇大広告に課徴金制度があり、対価の合計額の4.5%が基本です。景表法より料率が高く、こちらも対象は最長3年分です。
公開前の4ステップ・セルフチェック
広告を出す前に、次の順で見直すと抜けが減ります。
- 表現を全部書き出す(バナー、LP、SNS、動画のテロップも含める)
- 言い切り表現ごとに、根拠資料(試験結果、調査票、仕入れ記録など)をそろえる
- 景表法と薬機法それぞれの観点で、誤解させない書き方になっているかを見る
- 迷う表現は、公開前に弁護士へ見てもらう
根拠資料は、公開時点で手元にあることがポイントです。炎上や指摘があってから集めるのでは遅いからです。広告のOK・NGを一覧にした社内ルールを作っておくと、担当者が替わっても運用が崩れにくくなります。どの進め方が自社に合うか迷うときは、コミッターズまでお気軽にご相談ください。
まとめ
広告表現のNGラインは、「実際より良く見せていないか」「根拠を見せられるか」の2点に集約されます。比べると、景表法は商品全般、薬機法は化粧品や医療機器などの広告が対象で、どちらも違反すると経済的な負担が大きくなります。公開前に表現と根拠をセットで確認する習慣をつけましょう。個別の事情によって結論は変わるため、具体的な判断は該当分野の専門家(弁護士)に確認してください。
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