外注先とのトラブル:検収・やり直し・支払い遅延の整理術

目次
1. まず確認する「契約の種類」
2. 「検収」って何のこと?
3. 成果物が違う・やり直しを頼むとき
4. 支払い遅延、どう整理する?
5. 話し合いがこじれたときの動き方
6. 契約書でここだけは決めておく
7. まとめ

「納品された成果物のイメージが違う」「何度やり直しをお願いしても直らない」「納品はされたのに、いつまでも検収が終わらない」。外注先とのトラブルは、事業を続けていれば誰でも一度は経験するものです。ここでのポイントは、感情で動くのではなく、契約でどう決まっていたか、法律ではどう整理されるかを順番に確認することです。発注する側も、受ける側も使える考え方をまとめます。

まず確認する「契約の種類」

外注の契約は、大きく2種類に分かれます。どちらかで、トラブルのときの考え方が変わってきます。

  • 請負契約:仕事の「完成」が約束の中心。ホームページの制作や、デザインの納品、システム開発など
  • 準委任契約:仕事の「やり方や時間」を約束する。コンサルティングや、運用サポートなど

請負では、できあがった成果物が契約の内容に合っているかが問われます。一方の準委任では、成果物の出来そのものよりも、きちんと業務を行ったかが焦点になります。契約書のタイトルが「業務委託契約書」でも、中身を見ないと、どちらなのか判断できない場合があります。

まずは契約書や発注書を取り出して、何をいつまでに、どんな状態で納めるのかを確認しましょう。

「検収」って何のこと?

検収とは、納品された成果物を発注側がチェックして、「契約どおりだ」と確認する作業です。この手続きを決めておかないと、トラブルのもとになります。

よくあるのは、次のようなすれ違いです。

  • 納品したのに、発注側がいつまでも確認してくれず、支払いの話が進まない
  • 検収の基準があいまいで、「イメージと違う」で何度も修正を求められる
  • 「問題なし」と言ったあとで、別の理由で支払いを拒まれる

こうした行き違いを防ぐには、契約書や発注書で検収の期間(たとえば納品後何日以内)と、合格の基準、修正の回数や範囲を決めておくことが大切です。決まっていない場合も、仕様書や見積書、やりとりのメールなど、当初の合意が分かる資料を集めておきましょう。

成果物が違う・やり直しを頼むとき

納品物が契約の内容に合っていないとき、民法では「契約不適合」として整理されます。請負の場合、発注側は次のような対応を求められます。

  • 追完請求:直してもらう、やり直してもらう
  • 代金の減額請求:直してもらえないときなどに、代金を減らす
  • 損害賠償の請求:不具合で生じた損害を、相手の責任で求める
  • 契約の解除:目的を達成できないほど重大な場合

注意したいのは期限です。民法では、契約不適合を知ったときから1年以内に、相手に通知することが必要とされています(契約で別の定めがあることもあります)。「そのうち言おう」と先延ばしにすると、権利を主張しにくくなってしまいます。

合わせて読みたい:議事録・契約書・規程:行政書士に書類作成を頼む場面

では、やり直しをお願いするときは何に気をつければよいでしょうか。発注側が修正を求めること自体は自然ですが、やりすぎると問題になります。契約で決めた範囲を超えて、無償のやり直しを何度も求めるのは避けるべきです。

とくに、発注側が一定の規模の会社で、受注側が中小企業やフリーランスの場合、2026年1月1日に施行された「中小受託取引適正化法」(取適法、旧下請法)などで、不当な行為が制限されています。たとえば、費用を負担せずに納品後に内容を変更させたり、やり直しをさせたりすることは、問題となるおそれがあります。

お願いするときは、どこが契約と違うのかを具体的に書面で伝えるのが基本です。「なんか違う」ではなく、「仕様書の○ページと異なる」と指摘すると、相手も直しやすくなります。

支払い遅延、どう整理する?

成果物の納品は終わったのに、お金が支払われない。このとき、まず契約書の支払期日を確認します。そのうえで、取引の形によっては、法律が支払いのルールを定めています。

取適法では、支払期日は物品などを受け取った日(役務は提供を受けた日)から60日以内で、できる限り短く定めなければなりません。請求書を受け取った日からではありません。また、同法では、手形での支払いや、振込手数料を受注側に負担させて代金から引くことも禁じられています。

フリーランスと発注事業者の取引には、特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス法)が適用される場合があり、ここでも報酬の支払期日や取引条件の明示が定められています。自分の取引にどの法律が当てはまるかは、資本金や従業員数、取引内容で決まるため、確認が必要です。

なお、受注する側にとっても、検収の遅れは資金繰りに直結する問題です。納品の日付や、納品物を送った記録は必ず残し、検収が進まないときは早めに期限を区切って確認を求めることをおすすめします。

話し合いがこじれたときの動き方

話し合いで決着しないときは、段階を踏んで対応しましょう。

  • 事実と証拠を整理する:契約書、仕様書、メール、納品物、検収の記録
  • 書面で請求・通知する:期限と求める内容をはっきりさせる
  • 第三者に入ってもらう:弁護士への相談、調停、裁判手続きの検討

感情的なやりとりは、あとで不利に働くことがあります。相手が個人のフリーランスの場合も同様で、立場が弱い相手だからこそ、書面で丁寧に条件をそろえておくことが、お互いを守ることにつながります。電話で話した内容は、その日のうちにメールで確認しておくと、証拠が残ります。また、納品物のデータは削除せず、そのまま保存しておきましょう。

契約書でここだけは決めておく

トラブルを防ぐ最善策は、はじめの契約書づくりです。外注するときは、少なくとも次の項目を決めておきましょう。

  • 仕事の内容と範囲(含まれないものも書く)
  • 納期と、検収の期間・基準
  • 修正の回数や範囲
  • 代金と支払期日
  • 著作権などの権利が、どちらに帰属するか
  • 契約を途中で終了するときの扱い

とくに権利の帰属は見落としがちです。制作物の著作権が誰のものになるのか、決めていないと、あとから揉める原因になります。

まとめ

外注先とのトラブルは、契約の種類を確認し、検収の基準を明確にし、証拠を残すことで整理できます。成果物が違うときは、1年以内の通知を意識し、支払いについては取適法やフリーランス法など、取引に応じた法律のルールも確認しましょう。個別の事情によって結論は変わるため、具体的な判断は該当分野の専門家(弁護士)に確認してください。

L27 図解1
L27 図解2

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