「お客様と話しながらお酒を出すスナックを開きたい」「夜遅くまで営業するバーにしたい」。夜のお店の開業を考えるとき、避けて通れないのが風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)です。名前の印象から縁遠く感じるかもしれませんが、実はスナックやバー、ダイニングバーの多くが関わる法律です。しかも、「許可」と「届出」のどちらが必要なのかは、お店のやり方次第で変わります。選び方を間違えると、無許可営業になってしまうおそれがあります。この記事では、許可と届出を比較表で並べ、その分かれ目と基本を、2025年の法改正にも触れつつ整理します。
許可と届出はどこで分かれる?
風営法では、お店の営業形態によって、手続きが次のように分かれます。
- 風俗営業(許可):客を「接待」して、遊興や飲食をさせる営業など。公安委員会の許可が必要
- 深夜における酒類提供飲食店営業(届出):接待をせず、深夜(午前0時から午前6時)に、お酒を主として提供する飲食店。公安委員会への届出が必要
カギになるのは「接待」をするかどうかです。接待とは、特定のお客様に対して、継続的に談笑するなど、歓楽的な雰囲気をつくって楽しませる行為を指すと解説されています。たとえば、スタッフがお客様の隣に座って話し相手になる、カラオケでデュエットをする、といったことは、接待にあたる可能性があります。
一方で、カウンター越しにお酒を出して、通常の会話をする程度なら、接待にあたらないと考えられています。ただ、どこからが接待かは、実際の営業の中身で判断されるため、迷ったら事前に警察署の窓口で確認することが大切です。
店舗の所在地、営業時間、接待の有無、提供サービスを物件契約前に整理したい方は、コミッターズへご連絡ください。風営法上の許可・届出の確認先をまとめます。営業内容と店舗の条件を整理し、先に確認する窓口を明確にします。
比較表で見る許可と届出
2つの手続きの違いを、表で比べます。
| 比較項目 | 風俗営業(許可) | 深夜における酒類提供飲食店営業(届出) |
|---|---|---|
| 分かれ目 | 客を接待する | 接待をしない |
| 対象の店 | スナック、キャバクラなど(接待飲食等営業) | 深夜(午前0時〜午前6時)にお酒を主として提供するバーなど |
| 手続き | 公安委員会の許可 | 公安委員会への届出 |
| 審査 | あり。欠格事由、営業所の場所、構造・設備などが見られる | 審査ではなく届出。ただし接待をすれば無許可の風俗営業になりうる |
| 場所の制限 | 学校や病院などの周辺では営業できない地域がある | 住居専用地域などの住居地域では届出ができないとされる |

比べると、違いの出発点は手続きの重さではなく、接待をするかどうかにあります。接待をする店は許可のルート、接待をせず深夜にお酒を出す店は届出のルート、という順で考えると整理しやすくなります。
スナックは「1号営業」の許可が必要になる
風俗営業のうち、接待をして飲食させるお店は「接待飲食等営業」と呼ばれ、さらにいくつかの種類に分かれます。
- 1号営業:キャバレー、キャバクラ、スナックなど。客の接待をして、遊興または飲食をさせる
- 2号営業:低照度飲食店。照度が10ルクス以下の薄暗いお店で、接待は行わない
- 3号営業:区画席飲食店。見通しの悪い客席を設けて、飲食させる
ママやスタッフがお客様と話しながら飲食をさせるスナックは、一般に1号営業の許可が必要と整理されています。「うちはスナックじゃなく、バーだ」と名乗るだけでは、許可の要否は変わりません。名前ではなく、実際のサービスの中身が問われます。
届出だけで開けるバーの条件
接待をしないバーは、深夜に営業するなら「深夜における酒類提供飲食店営業」の届出で足ります。ただし、次の点に注意が必要です。
- 営業所が住居専用地域などの住居地域にある場合は、届出ができないとされる
- 接待をしないことが前提。接待をすれば、無許可の風俗営業になりうる
- 深夜にお酒を提供する飲食店なので、保健所の営業許可など、別の手続きも必要
- 届出の時期は、営業を始める前。開店してからでは遅い
また、深夜に営業しなくても、午前0時までのバーであれば、深夜酒類提供の届出は不要です。営業時間と提供の仕方で、必要な手続きが変わる点を、お店のコンセプトを決める段階から意識しておきましょう。
許可を取るためのハードル
風俗営業の許可は、届出と違って審査があり、次の観点が見られます。
- 営業者の欠格事由:過去の犯罪歴や、暴力団との関係がないこと
- 営業所の場所:学校や病院などの周辺には、営業できない地域がある。住居系の地域では許可が出にくい
- 営業所の構造・設備:客室の広さ、見通し、照明の明るさ、音響の設備など
- 管理者の選任:営業所ごとに管理者を置く
許可が下りるまでの期間は、自治体によって異なります。申請から許可までは、1〜2か月以上かかるのが一般的で、その間は営業ができません。物件を契約する前に、場所の基準を確認するのが鉄則です。
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2025年の改正で何が変わった?
風営法は、2025年に大きく改正されました。神奈川県警察の案内によると、原則として2025年6月28日に施行され、一部(欠格事由の追加)は同年11月28日に施行されています。主な内容は次のとおりです。
- 遵守事項の追加:料金について虚偽の説明をすること、客の恋愛感情につけ込んで飲食を求めること、注文していない飲食を提供することなどが禁止された
- 禁止行為の追加:客に注文や支払いをさせる目的で威迫することなどが、罰則つきで禁止された
- 無許可営業の罰則の強化:拘禁刑の上限が5年、罰金の上限が1,000万円に引き上げられた。法人の場合は、罰金の上限が3億円になった
この改正は、ホストクラブなどを念頭に置いたものとして報じられていますが、接待を伴う営業全般に関わるルールです。料金の説明や、お客様への接し方を、あらためて見直しておきましょう。
開業までの段取りの考え方
実際に開業するときの順番は、次のようになります。
- お店のコンセプト(接待の有無、営業時間)を決める
- 候補の物件が、場所の基準に合うかを確認する
- 内装の図面を作り、構造・設備の基準に合うか、事前に警察署で相談する
- 許可の申請(または届出)を行い、結果を待つ
- 保健所・消防署の手続きを並行して進め、検査を受ける
- 許可が出てから、営業を始める
たとえば、先に内装工事を終えてから警察署に相談したところ、客席の見通しが基準に合わず、やり直しになる、といったケースが考えられます。図面の段階で相談しておけば、工事のやり直しという大きな無駄を防げます。また、許可の申請では、営業者の身分関係の書類や、物件の使用権原を示す書類も必要です。書類の内容は、警察署や公安委員会の案内で確認しましょう。内装工事や賃貸借契約の前に、営業開始までの手続き順と所要期間を確認したい場合は、コミッターズへお問い合わせください。
他に必要な手続き
風営法の許可・届出だけでは、お店は開けません。
- 飲食店営業許可(保健所):食品衛生法にもとづく許可
- 防火対象物使用開始届など(消防署):消防法の手続き
- 従業員の管理:18歳未満の者を働かせたり、立ち入らせたりしてはならない
- 名義貸しの禁止:他人の名前で許可を取って営業してはならない
消防・飲食・雇用なども含め、開店までに必要な申請を一覧化したい方は、営業形態と開業予定日を添えてコミッターズへご相談ください。開業計画と手続きの前後関係を一緒に整理します。
まとめ
風営法の許可と届出は、「接待をするか」「深夜に営業するか」で分かれます。名前や雰囲気ではなく、実際の営業内容で判断されるため、物件の契約や内装工事の前に、警察署の窓口で相談しておくことが大切です。2025年の改正で、罰則も強化されました。


