系統用蓄電池・太陽光事業の許認可の進め方

「系統用蓄電池が注目されていると聞いて、事業として検討し始めた」「遊休地に太陽光発電を置きたい」。エネルギー関連の新規事業は、この数年で関心が高まっています。ところが、設備を買って置けばすぐ始められるわけではありません。電気事業法、農地法、消防法、建築・都市計画のルールなど、複数の制度が重なって関わってきます。この記事では、系統用蓄電池と太陽光発電を始めるときの手続きの入口を、経営者向けに整理します。個々の要件は設備の規模や場所で変わるため、全体の地図を持つことがねらいです。

先に決めたい「事業の型」

手続きの前に、まず自社がどの型で事業をするのかを決めます。型によって、必要な手続きが変わるからです。

  • 太陽光発電:発電した電気を売る、または自社で使う。規模によって、電気事業法上の扱いが分かれる
  • 系統用蓄電池:電力会社の送配電網(系統)につないで、電気をためたり、放出したりして収益を得る
  • 併設型:太陽光発電所に蓄電池を併設する。多くの場合、発電設備の付属として扱われる

とくに系統用蓄電池は、2023年4月施行の電気事業法の改正を受けて、「蓄電所」として、太陽光などと同様の保安規制の対象になったとされています。制度が新しく、解説や運用も更新が続いている分野です。最新の情報は、経済産業省や資源エネルギー庁、電力会社の案内で必ず確認してください。

制度変更を営業に生かす視点は、コミッターズの蓄電池の制度変更3つ|制度の動きを営業の『今動く理由』にする方法も参考になります。

計画地、発電・蓄電の規模、事業主体をまとめた段階でご連絡ください。系統用蓄電池と太陽光の計画に関係する許認可の確認順を、コミッターズと整理できます。計画の前提と必要な許認可の確認順を整理します。

電気事業法の入口:届出と保安

系統用蓄電池が「発電事業」に当たる場合は、事業の開始までに届出が必要になるとされています。法律家の解説では、判断の目安として、出力が1,000kW以上であること、託送契約上の同時最大受電電力や年間の逆潮流量(系統へ流れる電気の量)の割合が一定以上であること、そして接続最大電力の合計が一定規模を超えることが挙げられています。そのため、出力10MW(1万kW)を超える大規模な案件は、発電事業になる場合が多いと説明されています。

保安の面では、次のような手続きや体制が問題になります。

  • 電気主任技術者の選任:蓄電所ごとに必要。一定の要件のもとで外部への委託もできる
  • 工事計画の届出:一定の規模(出力や容量)を超える場合に必要
  • 使用前の検査:設備を使い始める前に自主検査などを行う

これらは、太陽光発電所にも似た考え方があります。規模の小さい案件でも、保安規制の対象になるかを必ず確認することが大切です。

電力会社との系統接続

どれだけ許可をそろえても、系統につなげなければ事業は成り立ちません。系統接続の手続きは、一般に次の流れで進みます。

  • 任意の事前相談
  • 一般送配電事業者への接続検討の申込み
  • 接続の回答(工事費の概算など)
  • 事業性を判断して契約を申し込む
  • 系統連系の承諾、工事費負担金の支払い、工事着工

近年は、蓄電池の接続申込みが急増し、回答の遅れや、手続きのルールの見直しが議論されています。法律事務所の解説では、土地に関する書類の提出を求める方向や、受け付ける接続検討に上限を設ける方向などが紹介されています。接続の見通しが立たないまま土地を契約すると、事業の計画が止まるおそれがあります。

系統接続の申込みから連系承諾までの流れは、ENERGY BANKの系統用蓄電池の接続検討|流れと期間の読み方で詳しく整理しています。

接続検討と土地・許認可の手続きを並行させる工程表を作りたい場合は、コミッターズへお問い合わせください。着手前に確認する窓口と資料を整えます。事業スケジュール上の論点と関係先への確認事項を一緒に洗い出します。

土地まわりの許認可

意外に時間がかかるのが、用地の手続きです。

  • 農地の場合:農地を転用するには、農地法の許可が必要になる。許可の見通しは、土地の区分によって大きく変わる
  • 消防:蓄電池の設置には、消防法の規制が関わる。基準は市町村の火災予防条例で定められるため、管轄の消防署へ事前に相談する
  • 建築・都市計画:コンテナ型の設備が建築物にあたるか、開発許可が必要かは、設備の形や規模で判断が分かれる。国土交通省の助言で、系統用蓄電池が一定の場合に特定工作物に当たりうるとされた例もある
  • 自治体の条例:景観、環境、住民説明などの独自ルールがある地域も多い

用地の契約より先に、これらの可否を確認しておくのが、失敗を減らす順番です。

土地活用の選び方は、ENERGY BANKの系統用蓄電池の土地活用で比べています。

農地を使う場合は、農地の区分と転用の手続きを比べる:届出で済む土地・許可が要る土地も確認してください。

【DMMブックス】

手続きは並行して進める

ここまでの手続きは、順番に1つずつ終わらせようとすると、何年もかかってしまいます。実務では、用地・系統・許認可を並行して進め、どこがいちばん時間のかかる関門かを見極めることが大切です。

  • 用地:地権者との交渉、農地であれば転用の許可、近隣への説明
  • 系統:電力会社への接続検討。回答までの期間が長くなる傾向がある
  • 許認可:届出や検査の準備、保安体制の確保
  • 資金:融資や出資の相談。金融機関は、手続きの見通しを重視する

とくに、資金を出す側は「許可が取れるのか」「系統につながるのか」を確認します。手続きの進み具合を整理した資料があると、説明がしやすくなります。反対に、どれかひとつが止まると全体が止まるため、止まったときの代替案(別の用地、規模の変更など)も考えておくと安心です。

補助金と圧縮記帳の考え方は、ENERGY BANKの蓄電池の補助金と圧縮記帳で整理しています。

太陽光発電の手続きとの違い

太陽光発電は、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)や、市場価格に連動するFIP制度を使うかどうかで、国への事業計画の認定など手続きが変わります。蓄電池は、これらとは別に、系統や保安の整理が中心になります。

太陽光と蓄電池を組み合わせる場合は、どちらの制度が主で、どちらが付属かを最初に整理します。発電と蓄電を別の事業者が担うこともあり、契約関係の整理が欠かせません。

土地を保有する会社の登記や、事業目的の追加については、不動産オーナーが法人化するとき、登記で必要なことで整理しています。

太陽光発電投資と系統用蓄電池投資の違いは、ENERGY BANKの太陽光発電と蓄電池投資の違いで比べています。

相談の前にそろえておく情報

専門家に相談するときは、次の情報を手元に用意しておくと、話が早く進みます。

  • 候補地の住所と、登記簿の地目、面積
  • 検討している設備の種類と、おおよその出力や容量
  • 事業の主体(新しく作る会社か、既存の会社か)
  • 資金の調達方法の見込み
  • 電力会社に、すでに相談したかどうか

「何から始めるべきか」が分からない段階でも、候補地と事業のイメージを伝えれば、必要な手続きの地図を一緒に描いてもらえます。

相談先へ提示する計画地・設備概要・系統接続の状況が揃っているか不安な方は、コミッターズへご相談ください。専門家への相談前に論点を整理します。事業概要・土地・接続検討の情報を整理して、次の相談へつなげます。

行政書士が関わる場面

行政書士は、官公署に提出する書類の作成や手続きの代理を担います。エネルギー事業では、農地転用の申請、各種届出の書類作成、許認可の窓口との調整などの場面で、相談先になります。ただし、保安の技術的な審査は電気主任技術者や設備の専門家、契約交渉は弁護士など、役割が分かれるため、全体をまとめる人を決めておくと進めやすくなります。

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まとめ

系統用蓄電池・太陽光の事業は、電気事業法のほかに、系統接続、農地、消防、建築、条例といった複数の手続きが重なります。まず事業の型を決め、用地と系統接続の見通しを確かめてから、設備投資に進みましょう。

図解1
図解2

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