目次
- みなし解散ってどんな制度?
- 2026年の実施スケジュール
- 事業を続ける場合の対応
- 畳みたい場合の対応
- 放置した場合のリスク
- 後から会社を復活させるには
- まとめ
「昔つくった会社、そのままにしてあるけれど大丈夫かな」。事業をやめたあと、登記も解散もしないまま、何年も放置している会社はありませんか。実は、登記が長く動いていない会社には、国のほうから「整理」が入ります。それが、休眠会社のみなし解散です。この記事では、制度の仕組み、2026年の実施スケジュール、通知が届いたときの動き方、放置した場合のリスクを整理します。
みなし解散ってどんな制度?
会社法では、最後の登記から12年が過ぎた株式会社を「休眠会社」と呼びます(会社法472条)。法務大臣が、官報で「事業を続けているなら届け出てください」と公告し、2か月以内に届出も登記もなければ、その期間が終わった時点で解散したものとみなされます。
一般社団法人や一般財団法人は、最後の登記から5年が対象です。株式会社より早く、整理の対象になります。
背景には、実体のない会社が登記簿に残り続けると、会社の情報への信頼が損なわれる、という問題があります。この整理作業は、法務局が定期的に行っています。
2026年の実施スケジュール
法務省の案内では、今年(令和8年度)の整理作業は次のとおりです。
- 2026年10月15日:法務大臣が官報で公告。同じ日付で、管轄の登記所から対象の会社へ通知書が発送されます。
- 2026年12月15日まで:届出の期限。必要な登記申請、または「まだ事業を廃止していない」旨の届出をします。
この期限までに何もしないと、みなし解散の登記がされます。登記簿上は、解散した会社として扱われます。
通知書は、登記されている本店の住所に届きます。本店を移転したのに登記を変えていない、といった会社では、通知が届かず、気づかないまま期限が過ぎることがあります。心当たりのある会社は、早めに登記簿の最終登記日を確認しておきましょう。登記事項証明書に並ぶ、役員の就任や退任などの登記の日付を見れば、最後に登記が動いた時期の目安がつきます。役員の登記は、任期が最長10年のため、取締役の重任登記を一度もしていない会社は、特に注意が必要です。
また、通知書が届いたからといって、すぐに慌てる必要はありません。届いたら、同封の案内を読み、期限内に対応を決めれば足ります。ただ、役員変更を何年分もためている場合は、書類をそろえるのに時間がかかるため、公告日の前から準備しておくと余裕を持てます。
事業を続ける場合の対応
会社を続けたい場合は、2つの方法があります。
- 届出をする:「まだ事業を廃止していない」旨の届出を、期限内に登記所へ出します。
- 登記を申請する:役員変更など、必要な登記を実際に行います。期間内に登記がされれば、みなし解散は避けられます(会社法472条ただし書)。
12年も登記がない会社は、取締役の任期が切れている状態になっていることがよくあります。取締役の任期は、非公開の会社でも最長10年です(会社法332条)。その場合は、届出で済ませるより、役員変更の登記を整えるのが現実的です。登記を怠ると過料の対象になるため、長い間の変更をまとめて整理するかたちになります。
畳みたい場合の対応
事業をやめて会社を終わらせたいなら、みなし解散を待たずに、自分で解散の手続きを進める方法があります。株主総会で解散を決め、解散の登記をして、そのあと清算の手続きに進みます。
解散の登記の登録免許税は3万円です(登録免許税法・別表第一)。清算人を選び、会社の財産を整理し、債務を支払い、残りを株主に分配して、清算が終わったことを登記する、という順番になります。
清算の過程では、会社に債権を持つ人(取引先や貸主など)に対して、官報で公告し、一定の期間内に申し出るよう知らせる手続きがあります。申し出る期間は2か月以上とされており(会社法499条)、その間は清算を結了できません。つまり、畳むと決めてから実際に清算が終わるまでには、数か月かかるのが通常です。「来月までに消したい」と考えていても、法律上の期間があるため、思ったより時間が必要な点に注意しましょう。
みなし解散で自動的に会社が消えるわけではない点が重要です。解散は、会社が消えるという意味ではありません。解散後も、清算の手続きが終わるまで、会社は存在し続けます(会社法475条)。
放置した場合のリスク
では、通知を無視して放置すると、どうなるでしょうか。
- 登記簿に「みなし解散」と記録されます。取引先や金融機関が登記を確認したとき、信用に影響します。
- 解散したままでは、通常どおりの事業ができません。再開するには、継続の手続きが必要です。
- 会社名義の不動産や預金がある場合、その整理が難しくなります。
- 清算をせずに放置を続けると、解散した会社の管理や整理の責任が、あいまいなまま残ります。
税金の取り扱い(法人住民税の均等割など)は、休眠中でも別に考える必要がある場合があります。税の扱いは、税理士に確認してください。
もう一点、長年放置された会社には、代表者が亡くなっていたり、連絡がつかなくなっていたりするケースも見られます。その場合は、会社の整理の前に、役員の変更や相続の整理が必要になることもあります。早い段階で状況を把握しておくほど、選べる手段は多くなります。
後から会社を復活させるには
みなし解散になっても、まだ手段はあります。みなし解散の登記から3年以内であれば、株主総会の決議で会社を継続できます(会社法473条)。決議をしたあと、2週間以内に継続の登記を申請します。
ただし、3年を過ぎると、会社を継続する道は閉ざされます。その場合は、清算に進むか、新しく会社をつくり直すことになります。継続するときも、役員の選任など、ほかの登記が合わせて必要になるのが通例です。
合わせて読みたい:私的整理・民事再生・破産を比べる:事業を続ける道、整理する道
事業をたたむときの考え方は、今日一日でも別の角度から触れています。
まとめ
休眠会社のみなし解散は、最後の登記から12年を過ぎた株式会社が対象です。今年の公告は2026年10月15日で、届出期限は同年12月15日までです。事業を続けるなら届出か登記を、畳むなら自分で解散と清算を進めましょう。放置すると、信用面や整理の面で負担が増えます。みなし解散後も3年以内なら継続できるため、気づいた時点で動くことが大切です。個別の事情によって結論は変わるため、具体的な判断は該当分野の専門家(司法書士)に確認してください。


